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技術コラム

2026.02.16

粉末素材と雰囲気熱処理の関係性について

雰囲気熱処理とは?金属粉末の品質を左右する「雰囲気」の正体

雰囲気熱処理(ふんいきねつしょり)とは、炉内を「水素」「窒素」「アルゴン」といった特定のガスで満たし、金属表面の酸化を防ぎながら加熱を行う熱処理手法の一つです 。金属粉末の熱処理においては、粉末特有の微細な構造や高い表面活性を維持しつつ、不純物を取り除くために不可欠な技術となります 。

雰囲気熱処理の基本的な仕組み

雰囲気熱処理について「ガスを燃やして温めているのですか?」と質問を受けることがありますが、それは誤解です 。ガスは熱源ではなく、金属が加熱される際の「環境」をコントロールするためのものであり、実際の加熱は炉の周囲にある電気ヒーターなどの熱源で行われます 。

具体的には、ガスが「加熱すると膨張し、冷えると収縮する」という性質を利用し、熱とガスを組み合わせて炉内から酸素(空気)を確実に追い出します 。

このガス置換は、以下の3つのステップで行われます 。

  1. STEP 1:空気(Air)の排出 炉内に酸素が約$21%$含まれている状態から窒素ガスを注入し、空気を排出します 。
  2. STEP 2:窒素による置換 炉内が不活性な窒素で満たされた後、次に還元性の高い水素ガスを注入して窒素を押し出します 。
  3. STEP 3:水素雰囲気の形成 炉内が完全に水素で満たされた状態を維持し、一定の圧力と流量でガスを流し続ける「常時フロー」の状態にします 。

このように、雰囲気熱処理では、加熱された金属から析出してくる不純物を新鮮なガスと結びつけて炉外へ追い出すことで、常に炉内を最高の状態に保っているのです 。

粉末素材の深部まで不純物を除去する「雰囲気熱処理」の仕組み

粉末素材は、金属に限らずセラミックスの原料、ハニカム構造体など多岐にわたりますが、共通して「表面積が極めて大きい」という特徴を持っています 。この大きな表面積ゆえに、大気中の酸素や水分を吸着しやすく、素材内部に酸化物や不純物を抱え込みやすいという課題があります 。これらをナノレベルで除去し、素材本来の特性を引き出すためには、ガスの「浸透力」と「循環」を極めた雰囲気熱処理が不可欠です 。

小分子水素による深部への浸透

雰囲気熱処理において水素が選ばれる最大の理由は、その分子の小ささにあります 。水素はあらゆる物質の中で最も分子量が小さく、極めて高い浸透性を有しています 。

この特性は、微細な粒子が積み重なった粉末や、複雑な多孔質構造を持つ素材において決定的な利点となります 。真空環境では到達しにくい粉体同士のわずかな隙間や、ハニカム構造の奥深くまで水素分子が入り込み、表面および内部に存在する酸化物と化学反応を起こします 。この反応によって酸素を奪い取り、不純物を水蒸気として分離・除去する「還元」プロセスが、粉末素材のリサイクルを可能にするのです 。

「析出」と「常時フロー」によるクリーンな環境維持

粉末素材を加熱すると、内部に含まれている不純物や水分が表面に浮き出てくる「析出(せきしゅつ)」という現象が起こります 。ここで重要となるのが、ガスを常に流し続ける「常時フロー」という仕組みです 。

常に新鮮なガスを供給し続ける常時フローであれば、析出した不純物と水素が結びついて生成された汚れたガスを、即座に炉外へ押し出すことができます 。この循環を絶え間なく繰り返すことで、炉内は常に高度なクリーン状態に保たれ、素材の芯まで均一な還元・精製が進むのです 。

粒径に合わせた「成功の方程式」の制御

粉末素材の熱処理において、品質の成否を分ける最も重要な要素の一つが「粒径(粒の大きさ)」と「処理条件」の相関関係です 。粉末の粒子が細かくなればなるほど、その表面積は指数関数的に増大し、表面活性が高まることで酸化や不純物の吸着リスクが顕著に増加します 。このような特性を持つ粉末素材に対しては、一般的な部品向けの熱処理とは一線を画す、より厳密かつ高度なプロセス管理が求められます 。

当社では、素材の粒径や形状、さらには最終的な目的に応じて、以下の**「成功の方程式」**を緻密にコントロールしています 。

当社が実現する、不純物を完全に除去する「精密炉冷コントロール」

粉末素材の熱処理において、加熱による還元反応と同じ、あるいはそれ以上に重要となるのが「冷却工程(炉冷)」の管理です 。加熱によって一度は除去された酸化物も、温度変化の制御を誤れば、適切な処理はできません。当社では、この炉冷コントロールのノウハウにより、素材の状態を完璧に管理します。

-80°環境までの制御こそが「確実な除去」の条件

粉末素材の内部にまで入り込んだ水分や酸化物をPPM単位で除去するためには、加熱、冷却、常温に至るまでの工程において-80°までの炉冷コントロールが必要となります。

  • 強固な還元環境の維持
    冷却中も水素による保護環境を解かず、不純物が入り込む隙を一切与えません 。

  • -80°での炉冷コントロール
    この極限の乾燥状態で温度を制御できなければ、そもそも適切な酸化物除去は完結しません 。

当社だからこそ可能な炉冷コントロール

当社では、材質や粒径の特性に合わせて、冷却速度コントロールとして、「-10℃/h ~ 自然冷却(-100℃/h)」の範囲で調整可能です。

単に温度を下げるだけでなく、高純度水素ガスの「常時フロー」を継続しながら、炉の制御によって理想的な温度降下曲線を描きます 。この「精密な炉冷コントロール」と「-80°環境」の組み合わせこそが、他社には真似できない当社の最大の強みであり、粉末素材の不純物除去、研究開発を支える信頼の根拠となっています。

熱処理・水素還元技術ナビの雰囲気熱処理の事例

次に、熱処理・水素還元技術ナビが実際に行った雰囲気熱処理の事例をご紹介いたします。

 

熱処理事例①:粉末の熱処理
粉末の熱処理

こちらは粉末の熱処理事例になります。

粉末から部品をつくる技術として主なものは、粉末冶金(金型に入れて圧縮成形する技術)焼結(高温加熱することで粒子同士が結合し合金化すること) MIM(MetalInjectionMoldingを略したもので射出成型を意味します)などがあげられます。

粉末冶金技術から3Dプリンタの技術へ繋がり、 粉末の研究開発がより一層、進んでいます。研究開発段階での粉末は複数の原料を組み合わせているため、その目的により・・・

>>詳しくはこちら

 

熱処理事例②:脱炭処理(ウェット&ドライ水素雰囲気熱処理)
脱炭試験1

こちらは、脱炭処理(ウェット&ドライ水素雰囲気熱処理)を行った熱処理事例です。

 

水分量の多い水素ガス(プラス露点の水素)専用の設備などを使用し、この雰囲気中で一段階目の熱処理を行います。

 

そして二段階目でドライ水素(露点マイナス40℃以下の水素)で還元処理を行うのが一連のウエット&ドライ水素熱処理になります。

 

このときの一段階目で・・・

 

>>詳しくはこちら

 

熱処理事例③:希土類金属の雰囲気熱処理
リサイクル粉末 水素還元 (2)

こちらは、希土類金属の雰囲気熱処理を行った研究開発事例になります。

 

雰囲気熱処理を行うことで、貴金属・希土類金属などを還元、粉砕、脆化、脱酸素、不純物除去などを行うことが可能です。

 

熱処理・水素還元技術ナビの研究開発では、複数の原料を組み合わせているため、その目的や研究により適した雰囲気熱処理でおこないます。

 

通常の金属熱処理と異なり、・・・

 

    

雰囲気熱処理のことなら、熱処理・水素還元技術ナビにお任せ!

雰囲気熱処理でお困りの際は熱処理・水素還元技術ナビでを運営しておりますサーマル化工株式会社までお気軽にお問い合わせください。

 

■ 熱処理・水素還元技術ナビの特徴

熱処理・水素還元技術ナビは、難易度の高い精密部品の各種熱処理に対応可能な熱処理のプロフェッショナルです。一般的な焼鈍から、純水素・特殊ガスでの熱処理を、1個から最大100時間の長時間行うことができます。

近年注目されている金属粉末の水素吸蔵によるリサイクル処理についても対応可能です。

 

■ 研究・開発支援実績が多数

熱処理・水素還元技術ナビを運営しておりますサーマル化工では、研究開発の試験案件を事業の核と考えており、本日に至るまで各業界のメーカー様をはじめとして様々な研究・開発支援を行ってきました。

正確な昇温、安定した保持時間、築炉よる緩やかな降温など試験目的によって、ご希望沿ったヒートパターンのご提案が可能です。

 

■ お客様からいただくよくある質問

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