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技術コラム

2025.07.07

  • 技術提案
  • 水素還元

【技術提案】ネオジム・チタン・タンタル・ニオブ等のレアアースの水素雰囲気熱処理で不純物除去

今回の技術提案事例の要約

本提案では、ネオジム、チタン、タンタル、ニオブなどのレアアース(希土類金属)のリサイクル、つまり再度材料として再使用するための水素雰囲気熱処理による不純物除去について紹介いたします。

ネオジム、チタン、タンタル、ニオブなどのレアアース(希土類金属)が、製品の性能向上目的で使用される一方で、使用後のレアアースの不純物混入や酸化が課題となっています。この不純物が混入した状態のレアアースを再利用可能な状態にすることで、レアアースという限られた資源の有効活用だけでなく、価格が高いレアアース(希土類金属)の購入コスト削減にもつながる可能性があります。

熱処理・水素還元技術ナビでは水素雰囲気熱処理によって、これらの課題を解決した技術提案事例をご紹介します。高純度水素雰囲気下での精密な温度・時間・ガス制御により、金属内部の酸化物や不純物を除去し、水素化(ハイドライド現象)や脱水素を通じて材料を再生。レアアース(希土類金属)のリサイクルに貢献しました。

Before:お困りごと

水素還元前

製品の性能をさらに高めるために、従来の鉄などの金属からネオジム、チタン、タンタル、ニオブといったレアアース(希土類金属)が使用されることが増えています。

これに伴い当社には

「酸化してしまったレアアースを材料状態に戻したい。」

「不純物が混ざったレアアースをリサイクルしたい。」

といったご相談をいただきます。

これらのような、材料(レアアース)を元の状態に戻したいという強いご要望がいただいております。

リサイクルのためには、加工した製品形状から一度粉砕して粉末とする必要があります。しかし、粉末にすると、表面積が増える分、酸化してしまいます。そのため、酸化した希土類金属合金、チタン系合金を水素還元処理することで、これら合金の酸素・不純物を取り除きます。

しかし、レアアースは水素吸蔵合金です。水素吸蔵合金は、温度を利用して、容易に水素を吸蔵し、また水素を放出する性質があります。

レアアースなどの水素吸蔵を伴う水素還元では、熱処理条件を間違えると空気中の酸素と反応して燃焼してしまう危険性もございます。したがって、水素還元における高度な専門知識と経験を持つ熱処理業者への相談が不可欠です。

After:ご提案内容

熱処理・水素還元技術ナビでは、お客様の抱えるレアアースの課題に対し、純水素雰囲気下での高度な熱処理技術を組み合わせることで、水素吸蔵合金のリサイクルを行う研究開発に取り組んでおります。不純物除去し、リサイクルを可能にしています。

「水素吸蔵合金だと処理を間違えると空気と反応して燃えてしまう。」

この特性と加工難易度から、レアアースの雰囲気熱処理に対応している加工業者は多くありません。

「水素吸蔵合金だと処理を間違えると空気と反応して燃えてしまう」この特性と加工難易度から、レアアースの雰囲気熱処理に対応している加工業者は多くありません。

下記のようなノウハウががございます。

①高純度露点、圧力、流量をレアアースに合わせてベストな状態に調整

高純度水素ガスを用いて、露点(水分量)を-76℃(水分量0.53ppm)まで管理し、酸化物の除去能力を最大限に高めます。ネオジム、チタン、タンタル、ニオブなど、レアアース(希土類金属)の特性に合わせた最適な温度、圧力、流量に調整し、求める品質を実現しました。これにより、不純物除去し、リサイクルを可能にしています。

対応領域

温度の範囲  200~1120℃
露点     -76°~+20°℃
精度     ±10~25℃
ガス圧力   0.15~0.20Mpa
水素流量   10~20ℓ/m

②酸化物除去と水素化(ハイドライド現象)の活用

希土類金属における水素化(ハイドライド現象)の性質を熱処理に利用し、材料を粉体化しやすくすることで、リサイクル工程を効果的行うことが可能です。

③炉冷冷却速度コントロールによる徹底的な不純物除去

長時間の熱処理と、精密な炉冷を組み合わせることで、粉末内部の水分や不純物をほぼ完全に除去し、再酸化を防ぎます。当社のピット型電気炉12基を活用し、長時間の処理要求にも対応可能です。当社は炉冷冷却速度コントロールを-10℃/h~自然冷却-100℃/の中で材質に合わせて行っております。

④特殊混合ガス雰囲気制御による脱水素。

粉末・希土類の水素雰囲気熱処理の実績

希土類金属の雰囲気熱処理

リサイクル粉末 水素還元 (2)

こちらは、希土類金属の雰囲気熱処理を行った研究開発事例になります。

熱処理・水素還元技術ナビの研究開発では、複数の原料を組み合わせているため、その目的や研究により適した雰囲気熱処理でおこないます。


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粉末の熱処理

粉末の熱処理

粉末から部品をつくる技術として主なものは、粉末冶金(金型に入れて圧縮成形する技術)焼結(高温加熱することで粒子同士が結合し合金化すること) MIM(MetalInjectionMoldingを略したもので射出成型を意味します)などがあげられます。

粉末冶金技術から3Dプリンタの技術へ繋がり、 粉末の研究開発がより一層、進んでいます。研究開発段階での粉末は複数の原料を組み合わせているため、その目的により複数のガスを用いた雰囲気熱処理でおこないます。

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レアアース(希土類金属)の不純物除去・リサイクルはお任せください。

当社は、レアメタル・希土類金属などの雰囲気熱処理の実績もございます。雰囲気による熱処理は粉末の研究開発、試験に最適な手法で、また、還元性ガスを使った雰囲気の熱処理は金属粉、金属片のリサイクルの実証実験も行います。

長年の経験と実績に基づいた柔軟な対応力で、お客様の多様なニーズにお応えいたします。熱処理・水素・還元技術ナビでは、水素吸蔵合金のリサイクルを行う研究開発に取り組んでおります。

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