技術コラム
2024.12.09
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パーメンジュールの熱処理(磁気焼鈍)について徹底解説!
目次
パーメンジュールとは
パーメンジュールとは、Fe(鉄)50%Co(コバルト)の合金材料で、磁性材料の中では最も飽和磁束密度が高いのが特徴です(約2.3T)。
パーメンジュールは飽和磁束密度が高いことで部品を小型化する可能性があり、製品の小型化へも繋がります。
パーメンジュールの熱処理表
磁気 焼鈍 | ※加工性 | 耐食性 | ※寸法・精度 | 応力除去 | 磁束密度 | 透磁率 | 保磁力 | 磁気焼鈍温度 (応力除去焼鈍) | 保持時間 | 炉冷 | |
パーメンジュール | ◎ | △ | 〇 | △ | 〇 | ◎ | △ | 〇 | 850℃~880℃ | 2~8時間 | 450℃以下 |
電磁ステンレス | 〇 | △ | 〇 | △ | △ | △ | △ | △ | 850℃~950℃ | 2~4時間 | 600℃以下 |
45パーマロイ | ◎ | △ | △ | △ | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 1050℃~1100℃ | 3時間以上 | 400℃以下 |
78パーマロイ | ◎ | △ | ◎ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 1050℃~1100℃ | 3時間以上 | 400℃以下 |
スーパーマロイ | ◎ | △ | ◎ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 1050℃~1100℃ | 3時間以上 | 400℃以下 |
モリブデン | ー | △ | 〇 | △ | ◎ | 900~1000℃ | 1時間程度 | 600℃以下 | |||
タングステン | ー | △ | ◎ | △ | ◎ | 1100℃以上 | 1時間程度 | 600℃以下 | |||
純ニッケル | ー | 〇 | ◎ | △ | ◎ | 800℃~900℃ | 1時間程度 | 300℃以下 | |||
インバー | △ | △ | △ | △ | ◎ | △ | △ | △ | 800℃~850℃ | 1時間程度 | 450℃以下 |
42Ni :注 | △ | △ | △ | △ | ◎ | △ | △ | △ | 850℃~900℃ | 1時間程度 | 450℃以下 |
コバール :注 | ― | △ | 〇 | △ | ◎ | 850℃~900℃ | 30分程度 | 450℃以下 | |||
ハステロイ | ー | △ | ◎ | △ | ◎ | 950℃~1000℃ | 30分程度 | 450℃以下 | |||
※チタン | ー | △ | ◎ | △ | ◎ | 550℃~650℃ | 1時間程度 | 400℃以下 |
磁気焼鈍処理は完成部品を磁気焼鈍(完全焼きなまし)した場合の一例です。
応力除去焼鈍は完成品の直前の工程で応力除去(焼きなまし)を行った場合の効果を示しています。
難加工材といわれる材質の為、加工性、寸法精度は部品形状により熱処理の手法はご相談となります。
注:完成品の酸化物除去になる水素還元処理の場合は1000℃を推奨しています。
※チタンは水素脆化が発生する材料のため、窒素・アルゴン雰囲気下もしくは真空炉での処理となります。
磁性材料の熱処理について
パーメンジュールは磁性材料の一つです。磁性材料とは磁場に対して何らかの反応をする材料になります。大きくは「軟磁性材料」と「硬磁性材料」に分けられます。
軟磁性材料は鉄心、リレー、継鉄など電気を通して磁場中で作動する製品に使用されており、磁心材料ともよばれています。
硬磁性材料とは磁性を帯びると磁化し、本体が強力な磁石となり、永久磁石として使用されます。
軟磁性、硬磁性の呼び名のルーツですが、軟磁性は焼きなましをおこない、不純物をとばすことで特性があがることで使用され、硬磁性は焼き入れをおこなう硬い鋼を用いていたことから、区別されていました。
研究開発が進むにつれ、現在ではこの区別は無関係とわかりました。軟質、硬質の区別は保磁力の大きさで分けられます。保磁力とは磁化された材料が反対向きの磁場にどれだけ抵抗できるかの数値です。数値が小さいとすぐ反応し、磁場がなくなると反応が無くなります。このことを軟らかいと表現し、保磁力が大きいことを磁気的に硬いと表現しています。
磁性材料で使用する基本的な値は磁場、磁束密度、磁化の強さの3つになります。
各特殊鋼の飽和磁束密度と最大透磁率の関係を表した磁気特性マップは以下のようになります。
■ パーメンジュールの熱処理
パーメンジュールとは、Fe(鉄)50%Co(コバルト)の合金材料で、磁性材料の中では最も飽和磁束密度が高いのが特徴です(約2.3T)。
パーメンジュールは飽和磁束密度が高いことで部品を小型化する可能性があり、製品の小型化へも繋がります。
製品分野は音響部品を始めに医療業界、モビリティ分野でのモーター、駆動部品等の小型化、高出力化、高速応答性として次世代型の製品へ検討されています。
パーメンジュールは水素雰囲気中で磁気焼鈍をおこなうと表面が反応し黒く輝く酸化被膜を覆うことができます。
加工は脆性が強く、冷間加工が難しい難加工材の一種です。加工性向上のためV(バナジウム)を添加しているものが流通しています。
近年では表面をコーティングした素材も開発されており、熱処理後の特性向上にもつながっております。
部品の形状によっては切断後の素材を磁気焼鈍し、部品加工を行うことでも満足する特性を得られる加工方法もあります。
熱処理・水素還元技術ナビのパーメンジュールの熱処理事例
熱処理・水素還元技術ナビが実際に行ったパーメンジュールの熱処理事例を以下でご紹介いたしますので、是非こちらも合わせて、ご覧ください!
熱処理事例①:パーメンジュールの磁気焼鈍
こちらの製品は、パーメンジュールの磁気焼鈍事例になります。
パーメンジュールは鉄とコバルトを1:1の割合で混合した合金です。
49Fe-49Co-2Vは軟鉄強磁性合金で、高い磁束飽和密度が特長です。
※磁束密度が高いとは、面積あたりの磁力が強いことを意味します。
これにより、小さな部品で大きな力を発揮し、製品の小型化に貢献できます。実際、パーメンジュールは・・・
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