熱処理事例
電磁鋼板の磁気焼鈍処理(窒素雰囲気熱処理)
種類 | 磁気焼鈍 |
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材質 | 電磁鋼板 |
業界 |
電子部品 自動車 その他 |
目的・トラブル | 磁気特性の向上 |
こちらは、電磁鋼板の磁気焼鈍事例になります。
電磁鋼板は、鉄の磁気特性を活かした鋼板で、機能材料としての役割を果たしています。 磁性材料は大きく分けて、全方向に同じ磁気特性を持つ「等方性磁石」と、特定の方向で優れた特性を持つ「異方性磁石」があります。
電磁鋼板は、完全な等方性磁石ではなく、ある程度の異方性を伴う磁性材料です。
そんな電磁鋼板ですが、モーター用の無方向性電磁鋼板(Non-Oriented Electrical Steel)NOと、トランス用の方向性電磁鋼板(Grain-Oriented Electrical Steel)GOの2種類が存在します。
特にモーターの用途では、電気エネルギーを磁気エネルギーを介して運動エネルギーに変換し、回転させるために特定の方向に優れた磁気特性が求められます(これにより熱によるエネルギー損失を防ぎます)。
一方、トランスでは、電気エネルギーを磁気エネルギーを介して再び電気エネルギーに変換し、電磁石として小さなスペースに磁気エネルギーを閉じ込めることが要求されます(これにより磁束密度を高め、磁力を強化します)。 以上が、電磁鋼板の特性の紹介になります。
次に熱処理についてですが、熱処理条件は材質によって大きく異なります。 特殊コーティング材料は750℃から800℃の間で、不活性な雰囲気(例えばN2ガス)の中で処理します。
対して、電磁鋼板やケイ素鋼は820℃から870℃の間で、還元性の雰囲気(例えばH2ガス)が望ましいです。ニッケル合金などは900℃から1100℃の間で、同じく還元性の雰囲気が望ましいです。
今回のような電磁鋼板では、保持時間は約3時間で、炉冷は必須条件になります。炉冷時間には指定がある場合もあります。
熱処理 水素還元技術ナビでは、このような特殊な金属の熱処理についても、多数の実績がございますので、特殊金属の熱処理でお困りの際は、まずは一度ご相談ください。