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技術コラム

2026.02.18

  • 技術提案
  • 焼鈍

【技術提案】モーターコアで使用する電磁鋼板へ磁気焼鈍を行い、磁気特性を改善し、エネルギー効率・反応速度を改善!

目次

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今回の技術提案の要約

今回ご紹介するのは、モーターコアで使用する電磁鋼板や鉄心で使用する鉄材へ磁気焼鈍を行い、磁気特性を改善することで、鉄損を防ぎエネルギー効率を改善、更に磁気密度や透磁性が改善されたことで、反応速度の改善を実現した技術提案事例をご紹介します。

モーターコアの高性能化において避けて通れないのが、鉄損(エネルギー損失)の低減と応答速度の向上です。


熱処理・水素還元技術ナビでは、需要が高まっている無方向性電磁鋼板(NO)をはじめ、純鉄やパーマロイ、パーメンジュールといった各種磁性材料に対し、材質ごとに最適化された精密な磁気焼鈍(磁性焼鈍)をご提案しています。

質量・温度・時間の緻密なコントロールと、独自の治具設置ノウハウにより、材料のポテンシャルを最大限に引き出し、バッテリーの持ちやモーターの反応速度といった最終製品の付加価値向上を実現します。

磁気焼鈍による機能性向上のからくりについては、下記記事にて詳しく解説しておりますので、是非こちらをご覧ください

>>磁気焼鈍とは?磁気焼鈍の目的や磁気焼鈍に適した材質を解説!

また、合わせて磁気焼鈍によるセンサーの反応速度改善や、音響機器の音質改善を行った事例もございます。

>>【技術提案】車載センサーカメラへの応力除去焼鈍で要求硬度を実現、磁気焼鈍で反応速度を改善!

>>【技術提案】最適な条件で磁気焼鈍を行い、音質改善を実現!

このような磁気焼鈍ですが、求めるエネルギー効率、反応速度を実現するには、必要な透磁性(透磁率)を算定、また必要な透磁性(透磁率)を実現するための最適な熱処理条件(熱処理温度、熱処理時間)はどのようなものかを判断する、そこには非常に専門的な知識と経験が求められます。

本コラムでは、そのような求める硬度を実現するための応力除去焼鈍や、求める反応速度を実現するための磁気焼鈍について詳しく解説いたします。本記事の下部で、Before、After形式で詳しく解説しておりますので、是非最後までご覧ください。

また、今回ご紹介するような研究開発について、熱処理・水素還元技術ナビでは過去多数実績がございます。熱処理・水素還元技術ナビの研究開発については、下記ページでまとめてご紹介しておりますので、是非ご覧ください!

>>「研究開発・支援」について詳しくはこちら

その他、熱処理・水素還元技術ナビが行う磁気焼鈍処理について、下記ページで詳しく解説しております。是非合わせてご覧ください!

>>「熱処理技術サービス:磁気焼鈍」はこちら

  

Before:お困りごと

今回ご相談いただいたお客様は、次世代モビリティや産業用モーターの開発において、以下のような課題を抱えていらっしゃいました。

エネルギー効率の悪さ 鉄損が大きく、バッテリーの消費が予想以上に早い。

モータの反応速度の遅れ スタート時のモーターの反応速度が鈍く、精密な制御に支障が出ている。

特に近年はレアアースを使用しないモーターコア開発(ケイ素鋼板の活用など)も進んでおり、より高度な熱処理技術が求められています。

 

After:ご提案内容

そこで熱処理・水素還元技術ナビでは、モータコアの各部品に対して磁気焼鈍を行うことで、磁気特性を改善し、鉄損を少なくすることで、電気エネルギーの効率向上によるバッテリー性能向上、反応速度改善による性能向上などを実現いたしました。

モーターコアに使用される材質として、無方向性電磁鋼板の需要が近年益々高まっています。メーカーから販売される磁気焼鈍材は、比較的低い温度で磁気焼鈍を行いますが、当社の場合ですと材質や、求める条件に応じて適切な熱処理条件(温度・時間等)で処理を行うことが可能です。

モータコアの部品で使用される代表的な材質に対応する熱処理条件を下記にて詳しくご紹介をさせていただきます。

磁気特性を最大限に引き出す『材質別熱処理推奨条件』  

◆電磁鋼板(絶縁皮膜有り)

  • 熱処理温度:750℃〜820℃±20℃
  • 保持時間:2時間以上
  • 雰囲気:不活性ガス(窒素など)
  • 炉冷:600℃までで、2時間以上炉冷。 以後は空冷(急冷は避ける)。雰囲気のまま100℃以下まで冷却が望ましい。
  • ポイント: 絶縁皮膜の温度劣化を防ぐため、温度処理設定には正確な精度を要します。  
電磁鋼板
(絶縁皮膜有り)
熱処理温度保持時間雰囲気炉冷・冷却
推奨条件750°C 〜 820°C
(±20°C)
2時間以上不活性ガス
(窒素など)
600°Cまで2時間以上かけて炉冷。
以後は空冷(急冷は避ける)。

 

◆ 純鉄(炭素0.02%以下)

  • 熱処理温度:850℃〜870℃±20℃
  • 保持時間:3時間以上
  • 雰囲気:還元性(水素など)
  • 炉冷:450℃までで100℃/h以下。以後は空冷(急冷は避ける)。雰囲気のまま100℃以下まで冷却が望ましい。
  • ポイント:変形、溶着、コンタミ防止のための脱脂洗浄が必要。熱処理後は不動態皮膜が失われるため非常に錆びやすく、防錆処理を施す必要があります。  
純鉄
(炭素0.02%以下)
熱処理温度保持時間雰囲気炉冷・冷却
推奨条件850°C 〜 870°C
(±20°C)
3時間以上還元性ガス
(水素など)
450℃までで100℃/h以下。
以後は空冷(急冷は避ける)

 

◆ケイ素鋼板(センダストコア)

  • 熱処理温度:850℃〜1050℃
    ※ケイ素の添加量により温度幅があり、ケイ素 1% 850℃ 、3%900℃、7%1050℃ と添加量が増えると熱処理温度も上がる傾向にあります。
  • 保持時間:2時間以上
  • 雰囲気:還元性ガス、不活性ガス(水素、窒素など)
  • 炉冷:400℃まで100℃/h以下 以後空冷。
    ※ケイ素の添加量(1〜3%、6.5%以上)によっては保持時間、炉冷時間、冷却速度の推奨条件が決まって無いものもあります。  
ケイ素鋼板(センダストコア)熱処理温度保持時間雰囲気炉冷・冷却
推奨条件850°C 〜 1050°C2時間以上還元性ガス
不活性化ガス
400℃までで100℃/h以下。
以後は空冷(急冷は避ける)

◆パーメンジュール(絶縁皮膜有り含む) /鉄/コバルト/バナジウム合金

  • 熱処理温度:850〜880℃
  • 雰囲気:還元性ガス(水素)。バナジウムとの反応により、表面が黒く光沢感のある仕上がりになることもあります。
  • 炉冷:100℃〜200℃/h程度
  • 保持時間:2時間~10時間(平均3時間ほど) 400℃まで。 以後雰囲気のまま100℃以下まで空冷が望ましい。
  • ポイント:変色、溶着、コンタミ防止のための脱脂洗浄が必要です。  製品の小型化に向く材質です。 
パーメンジュール・・・熱処理温度保持時間雰囲気炉冷・冷却
推奨条件850°C 〜 880°C2時間~10時間還元性ガス100℃~200℃。
以後雰囲気のまま100℃以下まで空冷

◆パーマロイ(45.78.80ニッケル合金)

  • 熱処理温度:応力除去焼鈍850〜900℃ 。磁気焼鈍1050〜1100℃。
  • 保持時間:2〜4時間以上。
  • 雰囲気:還元性ガス(純水素推奨)
  • 炉冷:400℃まで100〜80℃/h以下 、以後雰囲気のまま100℃以下まで空冷。
  • ポイント:変色、溶着、コンタミ防止のための脱脂洗浄が必要。 変形防止のための治具付け、溶着防止のための前処理の工程が必須。
    特に加工後の熱処理では応力が解放されます。精度を要する場合は次工程が必要となる場合もあります。 また、硬度が大きく低下し、軟化するため取り扱いや発送には注意が必要となります。
パーマロイ(45.78.80ニッケル合金)熱処理温度保持時間雰囲気炉冷・冷却
推奨条件応力除去焼鈍850〜900℃ 。
磁気焼鈍1050〜1100℃。
2〜4時間以上。還元性ガス400℃まで100〜80℃/h以下 、以後雰囲気のまま100℃以下まで空冷。

 

熱処理・水素還元技術ナビの応力除去焼鈍・磁気焼鈍事例

今回ご紹介したような応力除去焼鈍と磁気焼鈍ですが、熱処理・水素還元技術ナビでは今回の事例以外にも多数実績がございます。

熱処理・水素還元技術ナビが実際に行った熱処理事例を以下でご紹介いたしますので、是非こちらも合わせて、ご覧ください!

 

熱処理事例①:パーマロイの磁気焼鈍
パーマロイシールド 磁気焼鈍

こちらはパーマロイの磁気焼鈍熱処理事例です。

 

Fe-Ni系磁性合金はパーマロイとよばれています。Fe-Ni合金の透磁率 が高いことを発見し、その後Fe-Ni合金の熱処理透磁率が非常に高くなることを発見したことから、・・・

 

>>詳しくはこちら

 

熱処理事例②:純鉄の磁気焼鈍
純鉄の応力除去

こちらは純鉄の磁気焼鈍事例になります。

 

電子部品に使用されているは磁性材料(磁石にくっつく材質)は磁場中では磁力を持ち、それが無くなると元に戻る性質があります。

 

これを利用したのが電磁石で、多くの電子部品、製品に使用されています。部品加工によって磁化することを・・・

 

>>詳しくはこちら

 

熱処理事例③:電磁鋼板の磁気焼鈍処理(窒素雰囲気熱処理)
電磁鋼板 窒素雰囲気処理 (1)

こちらは、電磁鋼板の磁気焼鈍事例になります。

 

電磁鋼板は、鉄の磁気特性を活かした鋼板で、機能材料としての役割を果たしています。 磁性材料は大きく分けて、全方向に同じ磁気特性を持つ「等方性磁石」と、特定の方向で優れた特性を持つ「異方性磁石」があります。

 

電磁鋼板は、完全な等方性磁石ではなく、ある程度の異方性を伴う磁性材料です。

そんな電磁鋼板ですが・・・

 

 

熱処理事例④:パーメンジュールの磁気焼鈍
パーメンジュール磁気焼鈍

こちらの製品は、パーメンジュールの磁気焼鈍事例になります。

 

パーメンジュールは鉄とコバルトを1:1の割合で混合した合金です。

 

49Fe-49Co-2Vは軟鉄強磁性合金で、高い磁束飽和密度が特長です。

※磁束密度が高いとは、面積あたりの磁力が強いことを意味します。

 

これにより、小さな部品で大きな力を発揮し、製品の小型化に貢献できます。実際、パーメンジュールは・・・

 

 

熱処理事例⑤:電磁ステンレスの磁気焼鈍
電磁ステンレス

こちらは電磁ステンレスを磁気焼鈍した熱処理事例です。

 

電磁ステンレス鋼はクロムを10~20%含むフェライト系ステンレス鋼をベースとしてシリコンやアルミニウム等を適量添加することにより安定した磁気特性や高固有抵抗を得られる材質です。

 

用途は非常に広範囲で、軟磁性材料として使用されるため応答性が良く、少ない電力で高い駆動力が得られる材料です。

 

具体的には・・・

 

 

熱処理事例⑥:フェライト系ステンレスの磁気焼鈍処理
SUS430 磁気焼鈍処理

こちらはフェライト系ステンレスの磁気焼鈍処理の事例です。

 

フェライト系ステンレスには、ステンレス鋼とSUS430などが代表的ですが、JIS規 格には磁気特性の規定がありません

 

このため、磁気的な特性要求が緩い場合は、汎用のSUS430が用いられていることもありますが、高精度な制御が必要な機器向けには、磁気特性の厳しい品質管理が求められるため磁気焼鈍部品として使用されることはあまりありません。

 

一方で、フェライト系ステンレスは軟磁性材料よりも熱処理後の硬度があり・・・

 

 

熱処理事例⑦:ナノ結晶磁性体の磁気焼鈍処理
ナノ結晶磁性体の熱処理

こちらは、ナノ結晶磁性体の磁気焼鈍処理事例になります。

 

ナノ結晶を含むアモルファス合金は、軟磁性材料としての特性を持っています。フェライト材料と比較すると、透磁率が3倍、飽和磁束密度が2.5倍となり、小さなサイズで大きなインダクタンスを実現します。

 

この特性は、電子回路において電圧を制御し、ノイズを除去して電流を安定させるなど、電子機器において重要な役割を果たしています。 技術的には、電気機器の小型化や損失の低減に貢献しており・・・

 

 

熱処理事例⑧:アモルファス合金の磁気焼鈍
アモルファス合金 磁気焼鈍

こちらは、アモルファス合金の不活性ガスによる雰囲気熱処理の事例になります。

 

アモルファス合金のアモルファスとは、原子や分子が不規則に密集している状態のことを指します。

 

特に、アモルファス合金の組成には以下のものがあります:「Fe、Co、Niなどの3d強磁性遷移元素」と「Si、Bなどのガラス化元素」はリボンや細線に、 「Fe、Co、Niなどの3d強磁性遷移元素」と「Zr、Ti、Nb、Taなどの遷移金属」は薄膜形成に使用されます。 

 

これらは、結晶構造が形成される前に・・・

 

 

熱処理事例⑨:ステンレスの応力除去焼鈍

こちらはステンレスの応力除去焼鈍を行った熱処理事例です。

 

オーステナイト系ステンレスは耐食性を主眼とした目的でつくられ、最も多用されている鋼種です。

 

耐食性を常温でも維持するため一般的には固溶化熱処理を行いますが、硬度が母材の半分以下になり、 伸び率も上がるため、精度の高い製品加工の工程を困難にしてしまう可能性があります。

 

しかし、このよな問題は応力除去焼鈍を行うことで解決することができます。

 

固溶化温度よりやや低い応力除去焼鈍処理を行うことで、内部応力の緩和や・・・

 

 

熱処理事例⑩:ハステロイの応力除去焼鈍
ハステロイ 応力除去

こちらはハステロイ(ALLOY22)の応力除去焼鈍を行った事例です。

 

ハステロイは高ニッケル、高クロム、モリブデン合金でタングステンも含有しています。

 

特に腐食に強く、酸化酸や酸化条件下での耐腐食性は大変優れている合金です。ただし、難加工材と呼ばれるハステロイを製品化するのはその通り困難を要します。

 

そのため、加工途中で応力を除去する応力除去が施されることがあります。熱処理により応力が解放され・・・

 

 

熱処理事例⑪:アルミニウムの応力除去焼鈍
アルミ6063 応力除去

こちらは、A6063を応力除去焼鈍した熱処理事例です。

 

A6063はマグネシウムとケイ素を添加したAl-Mg-Si系合金のアルミニウムです。この合金は加工性が良く、耐食性にも優れ、押出し加工性も高い特性を持ち合わせています。

 

今回はそのようなA6063を応力除去焼鈍を行うことで、最終仕上げ前の高精度加工を実現しました。

 焼鈍の温度は390~420℃、保持時間は長めに設け、ゆっくりと冷却する(炉冷)ことで・・・

 

 

磁気焼鈍のことなら、熱処理・水素還元技術ナビにお任せ!

磁気焼鈍でお困りの際は熱処理・水素還元技術ナビでを運営しておりますサーマル化工株式会社までお気軽にお問い合わせください。

■ 熱処理・水素還元技術ナビの特徴

熱処理・水素還元技術ナビは、難易度の高い精密部品の各種熱処理に対応可能な熱処理のプロフェッショナルです。一般的な焼鈍から、純水素・特殊ガスでの熱処理を、1個から最大100時間の長時間行うことができます。

近年注目されている金属粉末の水素吸蔵によるリサイクル処理についても対応可能です。

 

■ 研究・開発支援実績が多数

熱処理・水素還元技術ナビを運営しておりますサーマル化工では、研究開発の試験案件を事業の核と考えており、本日に至るまで各業界のメーカー様をはじめとして様々な研究・開発支援を行ってきました。

正確な昇温、安定した保持時間、築炉よる緩やかな降温など試験目的によって、ご希望沿ったヒートパターンのご提案が可能です。

 

■ お客様からいただくよくある質問

実際にお客様からいただいたご質問のうち、特によくいただく質問をご紹介します!

 

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